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仕事をしていると、わかっていることでも行動に移せないことがよくあるものだ。ようは、知識として理解していても、行動に示せないということだが、これは知識と行動の間に何らかのギャップがあるからに違いない。たとえば、あるシンポジウムに参加した際に、新しい法改正について議論されていたとしよう。その法改正が本当に実現すると、自分の会社のこれまでの仕事のやり方に大きな影響が出ることが予想できたとする。シンポジウムに出席したのは自分だけであるし、それなりに権威のある学者が、法改正の高い可能性を示唆していた。これは会社の上司に問題提起すべきではないか、そう思ったにもかかわらず、結局行動は起こさなかったというケース、思い当たる人は多いに違いない。それはなぜだろうか。知識と行動の間にギャップがあるわけだが、それは職場環境に原因がある場合が多い。ここでは4つのポイントを指摘することにしよう。
■ わかっているのに行動に移せない4つの理由
第一に、多くの職場では、実際に行動する人よりも、プレゼンテーションや議論が上手な人が幅を利かせていることが多い。多くの管理職は、自らは行動せず、戦略だといって、上から指示を出しているだけのことが多い。つまり、言葉が行動より地位が高いということだ。
第二のポイントであるが、多くの職場にいる上司は、厳しいルールやリクエストで社員のしりをたたくようなマネジメントをしようとしている。つまり、これは無理やり働かせるようなものである。社員自らが、自分の幸せと成功のために、自然と一生懸命働けるような職場作りを実現している会社は、まだまだ多くはない。そのような職場では、色々なことをわかっている社員も、素直に行動に移そうとは思わないものである。
第三の理由として、前例の存在をあげたい。職場では、上司の経験や、過去の会社の実績や歴史が重視される傾向が強い。この度合いが強い職場であればあるほど、新しい提案は出にくいものであり、わかっていても行動できない風土が会社組織には確立しているものだ。
第四の理由は、評価の問題である。人で構成されているのが会社組織であるゆえに、職場には上下の人間関係が存在している。(もちろん同期のような、並列な関係もある。)つまり、職場では、序列が上の人間が下の人間を評価するというシステムがあるために、多くの人は他人の目を気にした行動を取るものである。これも多くの人に新しい行動を取ることに二の足を踏ませる原因になっている。つまり、評価が誰の目から見てもフェアであり、また評価の方法が安定している職場であれば、色々な提案があり、かつ行動も見られるに違いない。ただしその逆の場合、社員の行動は鈍ることになるのだ。このような職場では、チームワークも成り立たなくなる。それぞれの社員が個人行動に走るようになるということだ。つまり、チームにとって情報を共有することがいいことはわかっている。それでも、自分が抜け駆けをすることで特別な評価を得たいがために、チームとは情報の共有はしない、ということになりがちなのである。
■ 「行動に移せる」職場環境
以上のように、知識と行動の間に大きなギャップを生むような多くの状況が職場には存在しているのである。会社を経営するものの多くは、社員のモチベーションを上げたいというが、一方的に社員の自主的なモチベーションアップを期待するのではなく、上で指摘したようなポイントにおいて、まずは職場環境を大きく改善するための努力をするのがいい。そうすれば、社員は今よりもはるかにパフォーマンスをあげるようになるはずである。社員の持っている知識の大半を行動に移せたら、かなりの経営課題が解決できるはずである。
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