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小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
1967年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。総合商社で海外営業の後、キャリア情報誌の編集者、外資系ヘッドハンターを経て、採用戦略コンサルティング会社、リクルーターズ(株)を設立。近著『デキる上司は休暇が長い』(あさ出版・刊)など著書多数

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  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

03. 3本のクレヨンで勝負できるか

2008-06-11 09:00

転職を希望する人物が、企業の採用面接を終えたあと、面接官から次のようにいわれたという。

「私たちの会社は、3本のクレヨンで勝負できる人がほしい。あなたは100本のクレヨンがあっても、まだ足りないというかもしれない」

これは実話である。当の本人は意味がよくわからないといって、真意をその場で聞いたという。要は面接に受かったのか、それとも落ちたのか、それを知りたかったからだ。

それにしても面接官は、粋な表現をしたものだ。クレヨンの話が面接で使われることは、あまり一般的ではないと思うが、私にはピンとくるものがあった。

いわれてみれば、確かにその人物は3本のクレヨンで勝負ができるタイプではなかった。過去の転職歴を見ても、ここ最近は1年から2年で会社を変わっている。転職理由は次のようなものだった。「上司が変わり、経営方針も変わったため、ついていけないと思った」、「会社が外資と合併したので、雰囲気ががらりと変わり、将来性に不安を感じた」――それぞれの理由は、転職の現場ならば、どこにでも転がっていそうな、いわば“普通”の理由である。これらの何が悪いというのか……。実際、これらの理由自体が特に悪いということではないと私は思う。

つまり、こういうことである。あなたの職場環境に変化が起きたのはわかった。これまでとやり方も変わるのだろう。そうした中で、あなたの取った前向きな行動は何だったのか? この答えが必要なのだ。

話を3本のクレヨンの話に戻そう。なぜ前述の会社は、「3本のクレヨンで勝負できる人材」をほしがったのだろうか……。3本のクレヨンしかなくても、重ね塗りをすれば、実に多くの色を作り出すことができる。つまり、創意工夫一つで、たとえ限られた条件であっても、最大の成果を導くことができる場合があり、3本のクレヨンはそれを例えた話である。

試しに目の前に3本のクレヨンを並べてみてほしい。確かに、3本のクレヨンでは3色しか色を出せないような気になるものだ。どちらかというと、最近の職場にはそういうタイプの人の方が多いかもしれない。

私自身、週末に自宅で休んでいるときに、まさにこの「3本のクレヨン」の話に相当する出来事を目撃し、深く納得したことがある。これも実話なのだが、娘がお絵かき帳に何やら一生懸命、色を塗っていた。クレヨンではなくて色鉛筆ではあったが、12色塗りの色鉛筆を使っていた。ふと気が付いたのだが、明らかに色によって鉛筆の長さが違う。つまり、色によって使用頻度が違うらしい。娘に聞いてみた。

「好きな色鉛筆は、すぐ短くなっちゃうね」

意外な返事が娘から返ってきた。

「ううん、違うよ、パパ。白、赤、茶、黒はね、よくほかの色と混ぜ合わせるんだよ。そうすると、いろんな色ができるんだよ」

もうおわかりいただけたと思う。子供が創造性豊かであることは疑いもないことだろうが、芯が固い色鉛筆を重ね塗りするという視点は私にはなかった。だから、面接で3本のクレヨンの話をされたという人の話と、こちらも文字通り「重ね塗り」をしてみて、自分自身も創造性を大きく膨らませてみた。

そう、3本のクレヨンしかなくても、何とか工夫して重ね塗りをすることで色を増やしていける人こそが、面接でも成功する人であり、仕事でも成功するのだろう。少ない資源から、大きな成果を生み出すためには、重ね塗りする労力と、クリエイティブなアイデアが必要なのだ。

重要なことは、厳しい条件の中で何とか状況を打開していこうという胆力があるかどうか。ビジネスマンは、常に3本のクレヨンで勝負していると心掛けるべきだろう。