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小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
1967年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。総合商社で海外営業の後、キャリア情報誌の編集者、外資系ヘッドハンターを経て、採用戦略コンサルティング会社、リクルーターズ(株)を設立。近著『デキる上司は休暇が長い』(あさ出版・刊)など著書多数

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  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

38.今、ビジネスに必要なのは「女性的センス」

2010-03-08

 世の中には男性と女性がほぼ半分ずついるわけだが、ビジネスの世界には、まだ圧倒的に男性比率が高いことは言うまでもない。つまり、いまだ企業は男性社会であるということだ。

 一方で、最近特にビジネスに求められるセンスは、どちらかというと「女性的なセンス」が優勢である気がする。要は男性だろうと女性だろうと今、ビジネスパーソンに必要とされる資質の多くが、「女性には自然と備わっているもの」である気がしてならない。

 これは「女性的資質」とでも呼べばよいだろうか。多くの男性ビジネスマンの場合、この「女性的資質」が自然と備わっていないことが多いため、後天的にそれを学ぶ必要がある。

 もちろん、すべての女性が優秀であると言いたいのではない。ただ「女性的な資質」は注目するに値するということを指摘したいのだ。

 たとえば「女性らしい」きめ細かなコミュニケーション、「女性らしい」優しい配慮、「女性らしい」美的センス、そして「女性らしい」柔軟な対応など、今の時代にはこうしたソフトタッチなものが必要とされているのだ。

 たとえば面接でも、過去の実績やスキルばかりをアピールするのではなく、働く姿勢や態度、人とどのように一緒に仕事をしてきたか等、いわば個人のソフトスキルをアピールすることが成功の鍵である。
逆説的に言うならば、どんなに優秀でも、人とうまく仕事をやれないタイプの人は、パフォーマンスが悪いのである。

 さて、多くの女性に備わっているソフトスキルだが、男性にとって後天的に学ぶことがとても難しい。直感的にピンとこないのである。多くの男性はロジック(理屈)で物事を考えることが得意であるが、感性が鈍い人が多い。つまり、相手の気持ちを感じる能力が遅れていると言ってもいいのかもしれない。

 実際、転職の現場で面接対策のお手伝いをしていても、飲みこみが早いのはだいたい女性の方である。面接は他者評価であり、それがゆえに自分を客観視することがとても大切であるのだが、女性は相手が自分をどう見るかということに対して、敏感に理解できている人が多い(女性は自分の姿を鏡で見ることが、男性よりも圧倒的に多いと思うが、そのことが多少関係しているのだろうか。)。

 一方男性の場合、残念だが、他者評価の大切さをわかってもらうのに苦労することが多い。
男性特有の見栄やプライド、そして独特な使命感や頑固さは、ときに柔軟性に欠ける原因となる。
女性の場合、同様の経験をすることがあまりないようだ。

 以前、私が働いていた外資系企業でも、アジアにある各地のオフィスの幹部社員のほとんどが女性だった。
人材紹介サービスはソフトスキルが特に求められる職種のひとつであるからだと思うが、「ソフトスキルがある人を優先して採用したら、いつの間にか女性社員が主流になってしまった」と言うのが、当時の社長の説明であったから興味深い。

 私自身は男性であるから、当然ながら「男性的資質」をふんだんに持っているわけであるが、「女性的なセンス」を身につける必要性を強く感じるようになり、3年前から取り組んできたことがある。

 それは料理教室に通うことである。私が通っているのは、ひとクラス30人くらいの教室だが、男性は1割くらい。つまり各教室に3人ほどしかいない。4人ごとのテーブルにわかれ、テーブル単位で一緒に料理を作る。毎回メンバーは同じであるため、だんだん顔見知りになる。

 私のグループは20代から50代と、見事に世代が分かれた。男性はもちろん私1人。先生も全員女性である。
ひとしきり作業の流れについて説明を受けたら、すぐに料理実習に入る。レシピに沿って、4人のチームで分担しながら1時間半くらいかけて3〜4品を作っていくのだ。

 誰が何をやるということをことさら指示する人もなく、相手の動きを見ながら自然な流れで自分が果たす役割を自分で決めていく。男性なら最初に役割分担を決めるだろう。またこと細かく工程管理もしたがるだろうが、女性主体のグループに属していると、誰もそんなことをしようとする人はいない。

 メンバーの女性たちは、自主的に自分の仕事をこなしながらさりげなく相手の動きにも目を配っている。さりげなく調理用具を相手に取り、調理の合間に効率よく食器を洗っている。

 特に印象的なのは、作業のために手を動かしながらも、皆、和気あいあいとコミュニケーションを楽しんでいることだった。男性主体のグループでは、なかなかこうはいかないだろう。

 楽しいことをしているから、皆、自然と笑顔にも包まれている。料理がうまい人も経験が浅い人もいるが、皆、料理の完成を目指して一緒に働くのである。特に競争もないし、見栄を張る必要もない。

 そこには社長も部長も、そしてスタッフも秘書もない。多少経験や腕の違いがあっても、目的は皆が楽しむこと、自分のスキルアップを実現すること、そして最後に美味しい料理を一緒に食べることである。
だから実力差があっても、みんな一緒になって、協力し合うのである。

 メンバー間には世代のギャップがあるのだが、参加者は皆、フランクな口調であり、とてもリラックスしていてカジュアルな人間関係が出来上がっているのだ。正直なところ、料理教室で私が味わったような社会は、男性の世界にはあまり見あたらない。

 この3年間、女性ばかりがメンバーの料理教室に参加してきたことで、私自身、女性的な社交術やコミュニケーション術が多少はわかってきた気がする。自分にはなかった「女性的センス」についても身をもって体験できたが、それは希少な異次元空間であることは間違いない。

 なお「女性的なセンス」を身につける必要性を強く感じて料理教室に通い始めたという時点で、すでにそれ自体が男性的な発想であるという指摘があるような気もする。
はっきり言って、その指摘に対し、私が弁明できることは何もない。やっぱり、私は男性なのだ。

 ただ、料理教室に通い続けて思いを強くしたことは、やはりビジネスには「女性的センス」が必要であるということ。料理教室で学んでいることは、ただ料理の作り方だけではないことは確かである。これだけは間違いない。