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株式会社ニッセン(東証1部)社外監査役
(株)ワイズ・ステージ代表取締役

高橋宜治 先生

プロフィール

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労働CSRを考える(3) 働く意義を説明していますか?

今回は、社員のやりがいについて考えてみたい。

労働CSRの分野は以下の6つの観点であることは以前にも述べた。
復習をすると
1.法令遵守や企業倫理といった分野
2.労使の関係や安全衛生に関わる分野
3.差別問題を中心にした雇用の分野
4.セクハラ・パワハラといった人権の分野
5.社員のボランティアなどを含む社会貢献に関する分野
6.ワークライフバランスを含む企業の人材投資に関する分野

である。

1から4までは、何となくネガティブな臭いのする分野、5、6はポジティブな分野のようである。しかし、これらの分野のどれにも属さず、むしろこの労働CSRといったことを議論する前に、企業として当たり前に考えなければならないことがある。

最近、「企業は誰のものか」といった議論がある。もちろん、答えは「株主のもの」である。しかし、「企業は誰のためのものか」といった問いになると、それはすべてのステークホルダーのものとなる。つまり、ユーザーや取引先や社員など、その企業を取り巻く利害関係者となる。とりわけ、日本の企業においては、社員といったステークホルダーが重要な位置を占めるのではないか。概ねこれまでの企業において社員を処遇するときに性善説で対応してきたようだ。それは、労使一体となった運命共同体的な日本独特の企業経営哲学があったからだろう。

実は、先日、某大学で「CSRと人材活性化」といった遠大なテーマの講演をした(させられた?)。
このときに、何を題材に語ろうかと思い悩んだ結果、私の出身母体である「リクルート」(昔の)の人材活性化策について語ることにした。これは経験から生の話ができるし、原稿を準備する時間もなかったので一石二鳥であった。

さて、その振り返りをやって改めて気付いたことがある。それは、古い言葉であるが“やりがい”をもって仕事をしているか?経営サイドからすると“社員のやりがい”を何で担保しているか?ということである。社員個人が今やっている仕事と、社会とのつながりを説明できているか? 意味付け、意義付けできているか?

以前に753現象についてこのコラムに書いた。中卒は7割、高卒は5割、大卒は3割が3年以内に離職する現象をいう。この若年者の離職現象は彼らの責に帰するところもあるが、上記のような企業側(彼らの上司である管理職が)として本来果たさなければならない説明責任を果たしているだろうか?

今の子供たちは、キャリア志向が強いことは、以前のコラムで述べたが、それだけに今やっているひょっとしたら小さいと感じるかもしれない事柄と社会との関係のようなものをしっかり説明してやる――このことが必要ではないだろうか。

企業の社会的責任の一番プリメティブなことは、社員を雇用すること、そして、なぜそこで働く意義があるかをしっかり社会との関係の中で説明してやることではないだろうか。

講義原稿を考える最中に私自身、気付きを得た思いであった。この講義の中で学生にある質問をしてみた。次回に間に合えば、学生の生の声をご紹介したいと思う。乞うご期待である。