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株式会社ニッセン(東証1部)社外監査役
(株)ワイズ・ステージ代表取締役

高橋宜治 先生

プロフィール

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ピグマリオン効果

 新年度も始まって、各社では様々なイベントで総務部門は忙しい毎日を過ごしていることでしょう。
 独立してから一番寂しいのは、この時期に新入社員との出会いがないことです。サラリーマン時代には、ある時は、新入社員の受け入れの当事者部門として、また、ある時は新入社員をもらう立場の者として、楽しみな時期でした。

 毎年この時期になると,今年の新入社員は○○型という社会経済生産性本部から発表がマスコミに載ります。今年も何誌かに取り上げられていました。
 今年は、『デイトレーダー型』だそうです。その意味は、自分自身が会社と深く関与する意識が希薄で、常に好条件を考えて「銘柄の乗り換え」を考えているとのことです。
 会社のために努力し、会社と共に成長してきたと自負している団塊世代の先輩社員にとってはなんともやるせない思いにさせられる考え方のようです。

 この世代との付き合い方が、3月30日付の日経産業新聞に紹介されていました。3つのポイントがあるようです。ひとつは、役割の意味を諭す説明責任、ふたつは、情報の開示、そしてみっつは、タイミングを外さない褒め言葉とやりがいを付加することだそうです。
 しかし、これらのことは、「デイトレーダー型」の新人に限ったことではないでしょう。

 昔の上司から、『新人に対してはピグマリオン効果に気を付けろ』と言われました。『ピグマリオン効果』とはギリシャ伝説のピグマリオン王に由来する教訓です。簡単に伝説をご紹介すると、キプロス島のピグマリオン王は、彫像を制作することが好きでした。ある時、最高の傑作と思われる女王像を制作することに成功し、その女王像に恋をしてしまいました。そして、毎日毎日この女王像が人間であったらと思いつつ、人間と同じような扱いをしていました。その真剣な姿を見た女神アフロデティがその願いを適えてやったそうです。
 
 すなわち『強く信じていけば願いは必ず適う』ということです。
 部下(新人に限らず)に対しては、このピグマリオン効果を念頭において育成をするようにとの事でした。新人は、『なんて出来の悪いやつだ』と思い続ければ、結果として『出来の悪い人材』になる一方、ちょっとの失敗には目を瞑り、『なかなか出来に良い奴ではないか』と思い続けてそのように接すれば『出来よい人材』になるということです。
 
 勿論、思い続けるだけではだめで、その上で、仕事の意味づけをしてやり、タイミングよく褒め、少しでも、役割が上の、範囲の広い仕事を与えてやる。人材育成は、一朝一夕に成ることではありません。気長に育てる勇気を持つことが大切です。特に、中堅以下の企業では即戦力を求めたがります。中堅以下の企業にあって、『急いては事を仕損じる』最たる現象が人材育成ではないでしょうか。この時期に、肝に銘じて事に当たるべきでしょう。