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株式会社ニッセン(東証1部)社外監査役
(株)ワイズ・ステージ代表取締役

高橋宜治 先生

プロフィール

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労働CSRを考える(4) パート労働法への対応1

1月18日の朝日新聞の朝刊で、「非正社員の待遇 春闘で争点」との見出しが目に付いた。その見出しには、今年の春闘では「格差是正が争点のひとつで、中でも正社員に比べて賃金が低く、雇用も不安定な非正社員の待遇改善を目指すとある。

今年4月から「パート労働法」が改正される。その中身をちょっと復習しよう。ポイントは4つである。

1.雇用する際には、労働条件等を文書などで明確にする。また、雇用後も待遇についての説明責任を果たす
2.パート労働者の待遇は働き方に応じて決定をする (図表参照)
3.パート労働者から正社員に転換するチャンス、仕組みを講じること
4.パート労働者からの苦情の申し出に対して事業所内での解決を図ること

以上4点のうち1と3は義務化、2はケースによって義務化、4は努力義務化されることになる。なお、パート労働者の定義としては、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」され、その呼称が、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」などと異なってもこの条件に当てはまる労働者であれば該当することになる。

さて、このテーマを労働CSRの観点から考えてみたい。
現在、パートを代表とする非正規社員の数は1736万人(平成19年7〜9月)と雇用者に占める割合は33.3%と前年同期比0.1ポイント減少したものの、相変わらず高い水準にある。このような高水準に押し上げた要因は、企業の業績調整によるところが大きいことは知られているところである。非正規雇用を固定費の調整弁として活用してきたのである。企業がなぜ、非正規雇用を推進するのか、21世紀職業財団の平成17年調査を見ると次のような回答である。

1.人件費が割安だから(労務コストの効率化:66.5%
2.1日の忙しい時間帯に対処するため:40.2%
3.業務が増加したから:32.8%
4.簡単な仕事内容だから:30.7%
5.一時的な繁忙に対処するため:24%
6.経験・知識・技能のある人を採用したいから:20.2%
7.定年社員の再雇用・勤務延長策として:16.6%
8.仕事量が減った時に雇用調整が容易だから:13.2%
9.主婦感覚、女性感覚が活かせる仕事だから:11.7%
10.退職した女性社員の再雇用に役立つから:9.3%
11.学卒等一般の正社員の採用、確保が困難だから:9.1%
12.その他:8.7%

やはり、労務コストと繁閑の調整要員としての理由が多いようである。
一方で、働く側からの意見を同調査から拾ってみると次のような回答である。

1.家計の足しにするため:66.5%
2.生活を維持するため:47.2%
3.生きがい社会参加のため:36.0%
4.子供に手がかからなくなったため:23.1%
5.余暇時間を利用するため:22.8%
6.以前の就業経験を活かすため:15.0%
7.資格・技能を活かすため:14.2%
8.その他・無回答:7.1%

ここでは、目前の生活維持というギリギリの人たちと、生きがい、余暇や資格などを活かすという余裕のある人たちとの二極化が見えるようだ。また、なぜ非正規雇用を選んだのかという質問に対しては、次のような回答である。

1.自分の都合の良い時間(日)に働きたいから:42.7%
2.勤務時間・日数が短いから:42.4%
3.家事・育児の事情で正社員として働けないから:28.9%
4.正社員として働ける会社がないから:26.5%
5.仕事の内容に興味が持てたから:23.9%
6.賃金・待遇が良いから:9.8%
7.体力的に正社員として働けないから:9.6%
8.すぐ辞められるから:5.1%
9.病人・老人等の介護で正社員として働けないから:3.5%
10.友人・知人がパートで働いているから:3.1%
11.その他・無回答:11.9%

この回答からも、昔からある積極的理由(時間的制約がない)と正社員になりたいのだけれど、さまざまな制約のためにパートで我慢をしている。という二極化があるようだ。

法律の施行は、すべての対象者を義務化して徹底するのであるが、一方でダイバーシティの考え方もあり、企業としては柔軟に対応をすることが必要であると思う。

先の新聞における連合の闘争方針は「賃金一律引き上げ」とのことだが、一律ではなく個別対応することこそ、よりきめ細かな対応になるのではないだろうか。もちろん、コンプライアンスの観点は、企業として絶対に持たなければならないことではあるが……。

次回は、この論議をもう少し深めてみたい。