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【 コスト削減は継続しない トラウマシンドローム 】
今回は、〜コストが下がらない20の病とシンドローム〜の第四回目【 コスト削減は継続しない トラウマシンドローム 】です。
その前に少し報告があります。お陰さまで『コピー用紙の裏は使うな!』(朝日新書)の評判が本当に善いのです。「役に立った!」「目から“鱗”が落ちた!」「コスト削減ってポジティブなことだったのですね!」との声が続々と寄せられています。宣伝はここまでにして、早速本題です。
巷には【 コスト削減は継続しない トラウマシンドローム 】の患者が相当数います。「また!社長が言い出した。」「今は適当にやっておけ!景気が回復したら言わなくなるだろう。」「売り上げが落ち込むとまたあれだよ。」よく耳にする社員の会話です。そんな中、コスト削減の活動が継続しない理由は一つです。
例の、P(プラン=コスト削減の計画を立てる)⇒D(ドゥ=削減計画を実行に移す)⇒C(チェック=実行の結果を検証する)⇒A(アクション=検証結果を基に改善を行う)、つまりP⇒D⇒C⇒Aサイクルが多くの場合1回まわる前にCの効果の検証がなされないままに終わってしまったり、一旦は次なるAである改善までは行うものの、流石に改善の結果の検証までは行われないままにサイクルが終わってしまうケースが大半だからです。このサイクルを『現場』で2回くらいまわさない限り、コスト削減の意識であり活動は定着しません。
バブル期に多くの企業で小集団活動が行われました。いわゆるQC活動です。その際も各サークルのテーマにはコスト削減や原価低減ものが多く見られました。大手企業では全国発表大会が行われ、最優秀サークルには賞金100万円を出す企業もありましたが、第二回大会くらいまでが盛り上がりの限界で、その後は回を重ねるごとに規模が縮小し、バブルが弾けて以降はいつの間にかなくなってしまった企業が殆どです。こちらも、各サークルは毎年毎年新しいテーマに取り組み(その方が評価の対象になりやすいし、評価も高い)、1年前や2年前に提案し実行した活動の結果がその後検証されないままに放置されてきたことも原因です。ここでもPDCAサイクルが回らなかったのです。結果として、“コス削減活動は定着しない、継続しない”との評価に至っているはずです。
しかし、一方で世の中にはコスト削減を継続させている企業も沢山あります。典型的な企業が日本で一番利益をあげている自動車メーカーであるトヨタです。毎年毎年前年比で2,000〜3,000億円のコスト削減を継続して実現しています。売り上げではありません。コスト削減の金額です。トヨタと言えども為替差損の影響やカントリーリスクを常に背負っていると言う理由もありますが、定着の最大のポイントはCのチェック、つまり評価にあります。
効果に対する検証であり、結果への評価がきちんと企業活動の中に組み込まれているか否かです。経営者がコスト削減に常にスポットを当て、評価の対象にし続けている企業においてコスト削減が定着しないはずがありません。コスト削減は取り組んでもいずれ従業員の士気が落ちて継続しない、されないと言う“トラウマ”になっている経営者もいますが、その真の原因は、経営者自身のコスト削減に対する価値観や位置づけの低さの中にあるのです。この症状を、【コスト削減は継続しない トラウマ症候群】と言います。世の中にはまだまだ結構な数の患者がいます。「経営」、「現場」の如何を問わず。
☆この症状への処方箋は、まず経営者自身が“売り上げ増には100%成功の法則はないが、コスト削減には100%の成功法則がある”ことを真に理解することです。次に、取り組んだ以上、必ずC=チェックつまり効果の検証と、その結果を持っての取り組みへの評価をし続けることです。
最初は、言葉での評価でも構いません。インセンティブと言う手もあるでしょう。給与を含めた人事評価に加える仕組みが出来上がったらトヨタの一歩手前です。そして最後は、コスト削減のPDCAサイクルを必ずや現場に定着させるんだ。そして、コスト削減のDNAを現場に植えつけるんだとの“トラウマ”を乗り越える経営やプロジェクトの強い意思が症候群からの全快の決め手になります。患者数が多いので、最後に良薬となる話を処方しておきます。繰り返しになりますが、効果の検証と評価の継続が最大の薬です!
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昨年、大手スーパーの専務が遠路地方から訪ねて来られました。内容は店舗のコスト削減、もっと言えば行き詰っているISO14000活動の活性化の相談でした。その際に「この夏全店を対象にクールビズ運動を実施したのですが、冬のウォームビズ運動がなかなか各店の店長に受け入れられないのですよ!中にはそっぽを向いている店長もいるし・・。」と悩んでのことでした。つまり、コスト削減の意識であり活動が継続しないと言う悩みです。
しかし、私に言わせれば当たり前です。店長が言うことを聞くはずがありません。聞いたとしてもそれは表向きだけでしょう。従業員に「経営」の意図が正しく伝わり、大きな成果を生むことはまず考えられません。なぜなら、そこには効果の検証も無ければ、評価もないからです。「専務、夏のクールビス運動の効果は全店で何百万円で、さらにCO2削減に換算して何トン分だったのですか?」応えられるはずもありません。
また、最近では社長が言い出して、席を離れる時のパソコン電源OFF運動が始まったそうです。これも、社長が自ら実践した3日間だけだったそうです。原因はなんでしょう?明らかです。効果の検証がなされていないからです。この夏のクールビス運動の結果、各店で何kWhの省電力=コスト削減につながったのか?これがしっかりと出来ていれば、「クールビズ運動で効果があったので、この冬はウォームビズ運動でコスト削減に取り組もう!空調機は冷房よりも暖房の方が電気を喰うので省電力によるコスト削減効果はウォームビズ運動の方が大きくなるので全店挙げて頑張ろう!」・・。こうなったはずです。パソコン電源OFF運動も、その削減効果が数字になって現れていれば違った(定着した)はずです。
そして、もうひとつあります。この夏のクールビス運動はどこの店舗が頑張って、どこの店舗が手を抜いたのか、また、そのことを店舗や店長の評価にどうつなげたかです。この夏の効果の検証を店舗ごとにきちんとして、それを店舗評価に直結させていたら、今回のウォームビズ運動に、各店長を本気で取り組ませることなんか簡単なことだったハズです。評価された店長の方から自主的に、「冬はウォームビズ運動を大々的にやりましょう!」との声が上がってきてもおかしくない話だったのです。
コスト削減が定着しないのは誰のせいでもありません。やると決めたのが誰であれ、そこに効果の検証の仕組みと、合わせての評価の仕組みが無い限り、どんなに怖い社長がやろうと、どんなに優秀なスタッフが考えようと、コスト削減のDNAがそこに定着し、引き継がれることはありません。C(チェック)なくしてP(プラン)・D(ドゥ)・C・A(アクション)のP・D・C・Aサイクルが回ることは100%ないからです!
(Mr.削減)

