トップページ > コラム > 経費削減

 労務管理 |  雇用 | 購買 |  経費削減 |  ファイリング |  ファシリティマネジメント |  通信費 | 車両管理 |  助成金 | ビジネスマナー |  中小企業の経営相談 |  コンプライアンス | 年末調整 | 労災(労働災害)

 法定福利、法定外福利 | カフェテリアプラン | 寮・社宅 | 保養所 | 企業年金 |  社内環境整備

  会社法 | 民法・役員責任 |  労働法 | 株主総会 |  登記実務 |  知的財産権・著作権 |  税務

 情報セキュリティ | 防災・地震対策 | 企業保険(生保) |  企業保険(損保) |  ITガバナンス |  M&A |  メンタルヘルス | 社葬 | BCP

 社内広報 | 社外広報

株式会社コスト総合研究所 代表取締役社長
村井哲之 先生

プロフィール

<< TOP

街づくり3法と改正薬事法の成立で流通業に求められるものは

 街づくり3法と改正薬事法の成立で流通業に求められるものは……。
 いうまでもなく、更なるローコストオペレーションの迅速な確立です。

 6月9日(金)の日経朝刊 企業2面トップの見出しです。
 「改正薬事法成立で規制緩和 マツキヨ、24時間営業へ」
 「3年間で100店舗を転換」「コンビニなども意欲『新資格』の行方注視」
 そのまま、読み進んだ方が多かったと思います。しかし、これは流通業界にとってかなりのインパクトを持った出来事です。(コストマネジメント業界と言うものがあれば、そこにとっても!)以下に今回の記事とコストマネジメント(削減)の関係を、徒然なるままに紐解いてみます。

 まず、記事の中身は、『改正薬事法が8日、成立した。薬剤師がいなくても(「登録販売者」がいれば)風邪薬や鎮痛剤などが販売できる規制緩和が骨子で、2009年度夏までに施行される。ドラッグストアー最大手のマツモトキヨシは人件費削減のメリットを生かして24時間営業の導入を始める方針。一方、コンビニエンスストアなどの異業種にも「医薬品販売に参入する好機」とひとまずは期待感が広がっている。』と言う内容です。

 一方、≪改正薬事法≫とは、『大衆薬を副作用の危険の度合いで「ABC」の三段階に分類。副作用などのリスクが少ないB、Cに関しては新設の「登録販売者」の資格を取得すれば販売できるようにする。従来の薬事法では全ての薬を薬剤師が販売するよう求めていた。「登録販売者」の試験は都道府県が実施し大学の薬学部を卒業していなければ受験できない「薬剤師」より容易に取得できるとみられるが、新資格の試験内容などの詳細は2年以内に厚生労働省が決める。
 そして、≪今回の改正の概要≫は、『 ■A特にリスクが高い薬(胃腸薬、水虫薬等)⇒カウンター越しでの販売のみ、薬剤師のみ販売可 ■Bリスクが比較的高い薬(風邪薬、消炎鎮痛剤等)⇒カウンター越し販売を努力義務、登録販売者も販売可 ■Cリスクが比較的低い薬(ビタミン剤等)⇒質問がなければ商品内容を説明しなくてもよい。当然、登録販売者も販売可』と言うものです。

 この様な状況を受けて、マツモトキヨシの場合、薬剤師は一般社員より10万円も人件費が高く、これを登録販売者にすれば100店舗で年間1億2,000万円の人件費の削減になります。750店で1店舗1名の薬剤師が登録販売員に置き換わることでの削減金額は年間で9億円です。それ以上に、マツモトキヨシの場合、販売ロスが少なくなることが大きく(薬剤師の場合、労働条件等の問題で長時間営業、24時間営業対応はとても困難であったのがかなり解消される為)今回の様に他社に先行して、繁華街、住宅街の店舗を24時間営業に切り替えて行こうとしています。既に、銀座店は24時間営業になっています。

 これだけを観ると、今回の法改正はいいことだらけの様に思えますが、一方で、売上金額の増加には寄与するものの、売上高利益率は低下します。西日本を中心にディスカウントスーパーを展開中のある会社では、全店で24時間営業に踏み切ったもの、同規模の店舗であっても夜間の売上げには何と1万円〜50万円(一晩)までの差があるそうで、さらに言えば、売上げがあがっている店も朝の7時台にその大半を売りあげている状況で、夜間はエネルギー効率も含めて極めて生産性が低いのが現状です。だからこそ、殆ど売上げがあがっていない深夜・早朝の時間帯のエネルギーの無駄は徹底的に取り去る必要があります。また、このことは明らかに店舗のローコストオペレーション実現の大きな妨げになっています。

 もはや、流通業の24時間化は避けては通れません。やらなければ業態がボーダレス化しつつある競合店舗にやられてしまいます。であるなら、この極めて効率の悪い時間帯のコストの最適化を実現したところが生き残るのは“自明の理”です。街づくり3法も成立し、規模の効率性を追える大規模店の出店は出来なくなった今、一店一店の運営効率を徹底的に追求し、一店舗たりとも赤字の店舗を出さないことが極めて大事です。この記事に先行する半年くらい前より、今回新聞に取り上げられている会社数社から、コスト削減への取組みの意思表示を受けていました。

  “変化はチャンス”でもあります。マルエツも登録販売者を置くことで販売時間の延長を狙っているとのことです。ライフコーポレーションは人件費の低下で売価を抑えることが出来るとまで言っています。コンビニにもチャンス到来です。製薬会社も拡販の機会と捉えていることは容易に想像出来ます。

 「薬剤師」と言う最大の参入障壁がドラッグ業界を守りつつ、伸ばして来ました。しかし、法改正によりいとも簡単に最大の強みが壊れます。その時に、生き残れる否かの分かれ目は、その日が来ることを予測してどこまで店舗や従業員を筋肉質に鍛えてきたかにあると思います。まさに、ローコストオペレーションへの備えが出来ているかどうかです。そんな中、最近ではトヨタ自動車の4S、5Sを使っての売場を生産現場と見立てた、売場における徹底した業務改善(『カイゼン』)に取り組む流通企業も出てきています。商品を倉庫に取りに行く歩数を計るのは当たり前の世界から入っていきます。このあたりの成果は改めて書きます。

 今回は、変化をチャンスとして“活かしきる”ためには、変化に備えて常に組織を鍛えておかなくてはならない。組織を鍛えるとは、少なくとも流通業界ではローコストオペレーション確立以外の何者でもないという話でした。次回は、電力の「見える化」を通じて、よくぞここまで責任者のコスト意識が変ったと皆さんが腰を抜かす話“7連発”を予定しています。では……。
                 Mr.削減こと コスト総研所長 村井 哲之