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株式会社コスト総合研究所 代表取締役社長
村井哲之 先生

プロフィール

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コスト削減で1,000名分の賞与の原資を確保した会社の話

 先週末は札幌でした。地元の大手アミューズメント企業グループにお伺いし、担当者1名に当方3名の非常識な営業で、「電力の“見える化”による従業員の意識改革を通じてのコスト削減」を一席ぶってきました。翌日の土曜日の午前中は時間があったので、近くのホテルのカフェテラスでコーヒーを飲みました。室内には沢山の白樺の木が植えられていました。自然あふれる素敵なオープンテラスでした。葉っぱと枝はイミテーションですが幹は本物です。しかも枯れる心配がないそうです。つまり、手入れがいらないのです。この、枯れることのない白樺の木も“破壊と創造”から生まれたようです。

 自然のものを植えてしまうと、まず水遣りが必要です。害虫駆除も欠かせません。枯れてしまえば植え替えです。室内ですからそれは大変な作業です。そこで考えたのです。切り倒してしまった木の幹が枯れて腐ってしまうのは中で菌が活動するからです。つまり、自然のまま生かして、完璧な手入れをして生かそうとするのが普通の発想です。お金も掛かります。一方で依頼された会社が考えたのが“逆転の発想”ならぬ“破壊と創造”です。 “お寺や神社の「神木」はなぜ腐らないのか?”がヒントになりました。白樺の木を切り倒したものを大変大きなお釜で蒸します。(90℃です!)すると、幹や枝を腐らせる菌は皆死んでしまいます。それをディスプレイすれば、結果、10年、20年間は何の問題もなく、生きている時と全くと言っていいほど変わらない白樺として十分な鑑賞に耐えます。メンテナンスコストも殆んど掛かりません。

 それでは、前回お約束した「書類は何でも30秒で捜して持ってくる!」という敢えてできない指示を出すことで、コスト削減を通じて1,000名分の賞与の原資を確保した会社の話です。これも“破壊と創造”に通じています。

 皆さんは自分の書類、または社内の書類をすぐに引っ張り出せるようにキチンと整理されていますか?しかもその書類は誰が見ても分かるようになっていますか?

 その会社の社長は、それが全くできていない自社の管理体制を就任時から非常に気にしていました。「○○の件の書類を持ってきてくれ!」と言ってもなかなか手元に届かず、わかる者が外出中だとか、どこにあるかわかる者を探すことから始まるとか・・・・。日常茶飯事でした。

 書類を捜す時間もコストです。この意識が社内に足りないと強く感じた社長は、あるルールを決め、役員を含めた全社員に徹底させることを考えました。

 それは、“社内では、いかなる時も指示された書類は30秒以内で必ず持って来ること!”というものです。社長命令です。本気です。やらなければなりません。出来ませんは通じません。
そこで社員たちは考えました。どうすれば出来るか・・・・。“皆”で“現場”で!そして、全社が動いて、以下のことを決め、早急に徹底しました。
1.本当に必要な書類以外は残さない。とにかく紙を無くす。(データでの保管を徹底)
2.個人での書類保管を一切やめ、徹底した共有化を図る。とにかく紙を無くす。
 この2点を社員自らが発案し、徹底しました。その結果、特に1.の効果が大きく、各部署の書類保管に必要だったスペースが見る見るうちに小さくなっていきました。そしてついには全社で1フロア分のスペースが丸々空きました。

 ルールを決めた社長の目的は30秒で書類を持って来させることではなく、まさに今回のような“改善”への意識付けであり、切っ掛け作りだったのです。【広いオフィスで、たとえ手元に言われた書類があっても30秒では誰一人届けられない環境にありました。実は!】

 これにより、1フロア空いたスペースには向かいの貸しビルにいた営業部隊が入ることになり、家賃が浮きました。年間にすればそのコスト削減金額は何と全社員の一回分の賞与相当額でした。さらには全社員が同じビルに入ることで部門間のコミュニケーション密度が高くなり(特に、営業と設計・企画部門の間)、全社に活気がみなぎってきたそうです。実はこれこそが真の成果でした!

 私だけがこの書類を持っていてもたいしたこと(スペースの占有)はないだろうと1,000人が思えば、それだけの無駄がそこには発生するのです。無駄という“チリ”も積もれば“山(大変なコスト)”となるのです。

 一方、“リ・シンク”(考え直す)のスタンスで“書類って本当にこんなに必要なのだろうか”の観点で“現場”が“皆”で“根本”から考え直すと、このような素晴らしい変革が起こり、組織がどんどん筋肉質になって行き、変化に耐えうる組織ができあがるのです。
 
 コスト削減のチョッといい話でした。私もまずはデスクの周りの書類の整理整頓から・・・・。
8月10日(木) 市谷に引越しです。身の周りのコスト削減の最後のチャンスです!