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BEIビジネス倫理研究所 代表
山口謙吉 先生

プロフィール

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番外編(03) いま、従業員にも要請される「社会的責任感」

―企業不祥事は誰の責任なのか―

○今年は年初からおかしい
 今年は何か変だと思っていたら、有史以来の暖冬だという。おかしいのは気候だけではないらしい、年初から企業不祥事が相次いで発覚している。人命に関わる安全、安心が揺らぐ事件、消費者の生活、生き方などに大きな影響力を持ち、真実を伝えることが要求されているマスコミ関係各社の事件などである。それも、企業の姿勢を正すお手本となる不祥事が発生したばかりのものや記憶に新しいものばかりである。いったいこれらの企業は他社事例から何を学んで来たのだろうか。

○企業不祥事発生要因、責任の見方を変える
 現在発覚している不祥事は、繰り返し発生しているものばかりで、こうなると、企業不祥事は誰の責任なのかを改めて考えざるを得ない。本当に経営者の責任が大きく取り上げられる形だけで終わっていて良いのだろうか。国も社会もマスコミも従来の見方はこうだろうが、企業は、従業員も同罪と考えられる点にもっと目を向ける必要があるのではないだろうか。経営陣の責任はもちろんであるが、有害品、不良品、欠陥品、嘘の発表などをすればどうなるかは普通の大人なら想像がつくはずである。業務の現場にいる従業員の責任も同じように重いはずだ。

○表層的対応ではすまない企業が多いのではないか
 従来、企業倫理活動の対象を従業員中心としているところが多く、社内研修や意識調査、ヘルプライン、推進のための諸制度を整備、実施しているという声が聞こえてきそうだ。本当に自信を持って前述のような不祥事は発生しないと言い切れる姿勢、内容なのだろうかと聞きたい。他社事例の研究、対応の周知徹底もいいが、企業によっては、表層的対応をしていればいいという社内環境のところばかりではないはずだ。自分の良心に照らしてもう一度、自問自答をしてみてはどうだろうか。 

○不祥事は個人の言動、決断から発生することの再認識
 企業不祥事が発覚すると、どこそこの会社が起こしたという。間違ってはいないが、より正確には、どの部門の従業員があるいは管理職が起こしたということになる。会社(組織)というのは、個人が起こしてしまうように追い込むときもあるが、実行は出来ない。
 事態の発生は「個人の言動」からで、動機はそれぞれだが「個人の決断」によるものである。そこにヘルプライン等のコミュニケーションを取る開かれた手段の必要性があるわけだが、ヘルプラインについては後日別途ふれる。不祥事は会議室で発生するのではなく、業務の現場で発生するのである。当たり前だが、これが理解できていれば施策は、通り一辺倒ではないはずだ。

○自分の存在と業務の意義(社会的責任)への理解
 「顧客第一」という企業が多いが、従業員の理解はどうだろうか、その程度は低いのではないか。でなければ、前述のあそこまでの不祥事は起きるはずがなく、制御出来ていたはずである。だが、研修などで何を教えていたかをこの場合、もっと問題にしてもいいはずである。この基本的な点の欠如を是正し、不祥事発生要因へ向き合う従業員の姿勢を正しくさせることが重要ポイントなのである。
顧客第一の精神は、従業員の企業倫理の基本のひとつで、このことを研修で扱う場合、自分の業務と顧客との関係を意識させることが大切となる。 
例えば、従業員自身が造るものなどを、「食べる」「運転する」「支払う」「受ける」「その傍に住む」というつもりで業務に携わることやその社会的影響性を理解させることなどである。

○最後に、まず重要なこと
 しかしながら経営者は、小手先の対応や従業員への教育だけではだめだということを自覚する必要がある。まず何よりも企業が企業倫理実践に真摯な姿勢で対応していることを社会に示していることである。それを経営者が身をもって社内に示すことで、従業員はそのことを感じ、正しく業務遂行ができるのである。やはり、経営者は一番責任が重い。これは変えられない。