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第6回 企業倫理実践体制づくり(01)
−機能していると認知されることが重要−
今ほど経営の透明性と企業活動の可視化が求められている時代はないだろう。それが、大企業はもちろんだが、経営規模に関係なく求められてきている背景には、消費者の不信を増幅させている企業不祥事の多発がある。
一方で、体制を整備しなければならないのはわかっていても社内の動きは一筋縄ではいかないのが、各社の現状だろう。社内に企業倫理を推進する体制を整備しながら不祥事を起こす企業が多いのはなぜなのか、経営者の姿勢を責めることも多いが、企業倫理の実践体制、自浄作用といってもいい、これが機能していないのが大きな原因だ。それは、「実践の体制をステークホルダーに可視化する」という企業姿勢がなかったことが企業の甘えを生み出し、形だけの体制を許してきたことに繋がっている。これから改善しようとする企業は、このことを肝に銘じる必要がある。
■ 実践体制づくりの考え方
基本は第三者の目から見て機能している体制であることが重要だが、そのためには、体制の整備状況をインターネットなどで公表するというような考え方が背景に必要だ。これがないと前述したように形だけの機能度の低い体制を作ってしまう可能性がある。経営の透明性確保と同じ次元で捉えることだ。
また、企業倫理の実践体制は、企業の自浄作用を機能させる仕組みであるということも忘れてはならない。このことは二つの面から取り組む必要がある。一つは、従業員が取り組みやすくしなければならないから視点は自然に従業員のところになければならない。
一方で、経営的にはリスクマネジメントとして、経営陣が率先して動くことにより、ぜひとも十分な機能を発揮してもらわねばならないということである。さらに加えるならば、ステークホルダーにこのことをいかに理解していただくかの工夫を継続的にしていく姿勢が欲しいということだ。
実践体制は、十分に機能することを求めるならば専従の組織と担当者が必ず必要だと考えがちだが、企業規模、企業の事情によっては必ず専従をおかないければならないとは限らない。体制を作る意義と求められている趣旨を十分機能させることができる仕組みが出来上がっていればいい。しかし、第三者の目から見て、十分に機能していることがわかるようにする必要があり、これが条件となる。これは、形がないまま実践していてもなかなか認めてくれないという傾向にある今の時代を念頭に置いてのものである。
■主な機能と組織整備例
●要改善事項を審議し、経営課題として経営会議等の決定機関への付議
企業倫理実践の社内最高機関(企業倫理委員会等)の設置、
企業倫理最高責任者(企業倫理担当役員等)の任命
※これは必ず設置する必要がある。
●実践計画案および予算案の策定、推進
企業倫理推進部門の設置、または企画部門での担当者などの任命
●企業倫理の教育研修、モニタリング
企業倫理推進部門の設置、または監査部門での担当者や教育部門での担当者などの任命
●企業倫理の浸透活動、ツール類の開発
企業倫理推進部門の設置、各部門に担当者を任命
または、各部門に企業倫理の推進責任者及び推進担当者などを任命
●企業倫理に関する相談、通報案件受付、調査、対応
企業倫理推進部門や相談窓口部門の設置、または既存窓口などへの担当者の任命
●関係会社、関係部門の調整およびその連絡会の事務局
企業倫理推進部門の設置、または企画部門や総務関係部門での担当者などの任命
●関係会社、関係部門の連絡、調整
関係会社連絡会、関係部門調整会などの設置
※専任部署がなければ関係部門調整会などは必ず設置する必要がある。
■主な関係規程類の整備例
規程管理規程への明記など
※上位規程として位置付けるとよい。従業員への対応の明確化にも繋がる
●企業倫理関係業務分掌などの整備
組織分掌規程などへの明記、違反事項発見の通報の義務化などは検討
●稟議決裁規程などの整備
相談、改善案件などの起案者、協議先、付議会議、決裁者の明確化
●個人情報保護規程などの整備
相談、内部通報などにおけるプライバシー保護、担当者の秘守義務明確化
※従業員に公表することにより信頼関係や担当者の自覚を促す
●違反行為に対応した罰則事項(規程)の整備
既存規程類を見直し、改正することで可能。従業員への公表が大切
●そのほか実践に伴うマニュアル類の整備が必要となる
担当者が変わると今までと違う対応がなされるということでは信頼を損なうことになる。しかし一方、公表することで、どのように会社の企業倫理実践が進められていくかが従業員に理解しやすくなり、信頼関係も強くなるとともに、企業倫理担当者の業務も進めやすくなる。
最後に、自社の組織体制に合わせていかに構築していくかが重要となるが、特に経営会議などの場で、経営陣や幹部社員に議論を交わしてもらい、取り決めていくことも重要である。経営陣の参画も良い結果を作り出していくには不可欠の要素である。
よく、社内プロジェクトを組んでの構築がすすめられているようだが、必ずしもそうではない。企業規模にもよるが、草案を少人数の担当者で練り上げ、経営会議等の議論を経て、各部門へ落として調整を進めるという方法も、意外と効率的で進みが早いように体験的には思われる。

