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新会社法の真の意味
この5月1日に施行された「会社法」は条文が9百数十条に及ぶ。施行規則の内容も多岐にわたる。現在、3月決算会社は今回の総会での定款変更や敵対的買収防衛策等の議案の内容チェックにおおわらわである。
ところで、この「会社法」の本質は何なのか。経営のルールがどう変わるというのか。ちょっと考えてみたい。そもそも旧商法は1900年(明治39年)成立、100年を超える年月の間に時代に合わなくなったものが目立つようになっていたのも事実。まさに、時代に則して、従来のドイツ法的な「規制」を前提にしたものから、米国流に生まれかわろうとしている。
一体何が変わるというのか。まずは、定款自治の徹底による経営の自由度拡大とそれに伴う説明責任の拡大。取締役への委任事項が増える分、「ディスクローズ」を新法は強く求めている。「内部統制システム」の開示を強く迫っているのもその一環だ。今こそ社会に向けた開示をテコに自らを律し経営の健全性と適正性を常に確認するカルチャーを社内に醸成したいものだ。
しかし、誤解しない方がいい。会社法が求めている最大のポイントは、実はこのような「情報開示」や「自己規律」の姿勢だけではない。もっともっと本質的なところは「儲かる」経営をすることだ。つまり、株主価値の増大を果たす経営である。四半期配当に見られるように株主還元に大きく舵をきった。会社は株主のものであることを鮮明に打ち立てた。買収防衛策だって、株主保護策の一つである。決して経営者の保身のための策ではない。株主価値の毀損を防衛する策のことをポイズンピル(買収防衛策)というのだ。旧商法は債権者保護を最重要視して資本の充実確保を優先させたが、会社法はその姿を大きく変貌させている。資本金はゼロでもいい。準備金もいくらでも取り崩せる。剰余金は四半期で配当できる。まさに、株主資本主義に大きく舵をきったのだ。資本は株主のものなのだ。
このような中で経営者が肝に銘じるべきもの、それが資本コストの認識であろう。株主価値を高めるということは資本コスト以上の成果を生み出すことであり、それはまさにキャッシュフロー経営の徹底でもある(投資とリターンの追求)。「経営責任は株主価値を高めること」という金融資本市場での常識がなんと会社法の中でも根本精神としてうたわれたのだと気付くべきだ。会社法は従来の商法のように債権者保護にかこつけて、株主の圧力から資本を守ってくれるような、経営者に優しい法律ではもはやなくなってしまった。法律的にもキャッシュフロー経営が求められていると認識すべきだ。資本コストを意識した経営が会社を強くし日本企業の国際競争力も保てると立法当局も考えたのであろう。日本を立て直す道はこれしかないと悟ったのであろう。いよいよ本格的な株主資本主義の到来なのである。否応なしでやってくる株主資本主義、その中での掟を示したもの、それがまさに新「会社法」の真の姿なのである。
M&Aとは、まさにこのような世界で起きる資本の価値戦争である。資本価値を高める経営を果たせない会社・経営者は敗者となる。新「会社法」はその厳しい掟もまた教えてくれているのである。

