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ITガバナンス
IT投資が失敗する理由
しばしば期待外れに終わるIT投資に、「情報系の開発」が挙げられる。多額の投資をしたにもかかわらず、何も価値を生み出していないところが少なくない。
たとえば、データウエアハウスが一世を風靡(ふうび)した時代、多くの企業がデータウエアハウスの構築にまい進したことがある。そのとき、次のような掛け声が振るっていた。「何でもデータを入れておいてください。今、必要でなくとも、将来、必要になるかもしれません。そのときに力を発揮するのがデータウエアハウスです」――いっていること自体に間違いはない。確かに必要になることもありえるかもしれない。だが、「将来、必要になるかもしれない」というわずかな可能性のために、IT関連だけでハードウエアやソフトウエアなどのIT設備に膨大な投資と運用部隊の整備が必要だった。運よく格納したデータが必要になった場合でも、そのデータがどれだけの価値を生み出したのだろうか? ほとんどの場合、投資に見合った効果は得られなかったはずである。
このような事例は枚挙にいとまがない。このような経験をした多くの企業が「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」状態になり、「ITは金がかかるだけで役に立たない」とIT投資を控えがちになる。結局、当初はIT業者の思惑通り、ITへの支出が増加したが、しばらくすると減少してしまうわけである。もちろん、責任がIT業者のみにあるわけではない。適切な投資判断ができない企業の方が罪は重い。
将来を予測することは、はっきりいって困難である。不可能といってもいいかもしれない。だが、自社の現状はわかるはずである。たとえば、上記のケースだが、そもそも、大量のデータを分析するスキルが自社内にあるのだろうか? その結果を活用するリソースはいるのだろうか? なければどうするつもりなのか? 育成か、外部からの獲得か、外注か……。要はシステムを導入する前に、業務がどう変化するのか、新プロセスは移行可能かつ効率的か、そのために必要なスキルとリソースの確保は可能なのかなど、平たくいえば運用開始後のイメージを固め、フィージビリティを評価することが必須のはずである。
だが、実際には、ITまわりのことにのみ考えが集中し、肝心(ITが効果を発揮するのは運用後である)のことが抜けている場合が多い。しばしば成功事例をうのみにし、自社もそうなれると考えがちのようだが、成功事例の会社と自社の違いすら分析されていない場合が多い。これでは失敗しても不思議ではないであろう。

