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ITガバナンス

NTTデータ経営研究所
小野寺清人 先生

プロフィール

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EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)を利用していますか?

先日、ある民間企業を訪問したときのことである。そこの情報システム部の管理職の方が、全社の経営計画やラインの中期事業計画の中で、ITにほとんど触れられていないことを嘆いており、なんとかITの認識を高め、ITに関しても言及されるようにしたいと述べられていた。計画段階からITの必要性を認識し、IT活用の方向性を明確にしたいということらしい。その話をうかがい、私が「つまり、EAの認識を広めようということですか?」と聞いたところ、とんでもない、という表情をされた。「なんで、あんな面倒くさい、無駄なものを作る必要があるんだ!」ということらしい。

EAはITアーキテクチャの発展系である。自組織のIT(と情報)の将来的な方向性を描くための方法論がITアーキテクチャであり、IT企画において、ITの将来構想を描く場合にもっとも有効な方法論のひとつである。それが、ITの発展によって、ビジネス全体におけるITの重要性が高まったことから、ビジネスアーキテクチャも合わせて検討しないと適切なITアーキテクチャが描けないため、ビジネスアーキテクチャも包含した「EA」へと発展してきたのである。実際に、欧米の先進的な企業では、以前からITアーキテクチャを構築しており、その延長線上でEAに取り組んでいるところが多く、EAに対する違和感はさほど大きくない。

では、日本はどうだろうか? 確かにほんの一時期、EAが話題となったが、すぐに下火になってしまった。そのブームのときに、EAが誤解される形で日本に定着したことが、上記のような反応になってしまっていることは間違いない。おそらくは、ブームになったときに流行した、ボトムアップ的なこてこてのモデリングをする、ある意味で間違ったEAのイメージが染み付いているのだろう。悪いことに、日本ではITアーキテクチャが存在しない土壌にEAが突如出現したため、ほとんどEAの本質も理解しないまま、EAを構築すれば、何らかの「ご利益」が得られるかのように、EA構築そのものが目的化してEA構築が進められ、多くは徒労で終わったのである。大半の企業はボトムアップ的なアプローチのために途中で挫折してしまったであろう。一通り構築した企業でも、効果を十分満喫できたところは少ない。EAは企画段階の方法論であり、従ってEAを構築しただけではほとんど効果が得られない。効果を挙げるためには、実プロジェクトに展開し、必要に応じてその結果をEAにフィードバックしていく、いわゆるPDCAのマネジメントサイクルにのせていくことが必須である。

企画やIT部門でしばしば、お題目のように、「全体観」、「全体最適」、「全体像」、「トップダウン」などのキーワードが飛び交っているが、実は、それだけ、EAの必要性が指摘されているといえる。EAは企画や開発の外側にある余分なものではない。企画の中核をなすものであり、開発、運用における実プロジェクトの方向性を明確に指し示すものである。

さて、みなさん、EAを利用していますか?