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従業員満足のために社内広報ができること
CS(Customer Satisfaction=顧客満足)を実現するためには、まずES(Employee Satisfaction=従業員満足)を高めることが必要です。今回と次回では、従業員のモチベーションを向上させるための、社内広報の目的と役割を考えてみましょう。
企業の組織活性化コンサルティングを多数手がけ、研修・講演・執筆活動に多忙な活躍をされている、有限会社人事・労務の矢萩大輔さんと金野美香さんに、詳しく解説いただきます。
仕事を通じて従業員が幸せに
働くことの価値観が変化・多様化した昨今、ことに若い人材が定着しにくいことに、企業は頭を悩ませています。一方、従業員の側にも、成果主義による疲弊が目につき、鬱(うつ)などのメンタルヘルス不全が増えています。
生産性や効率だけを求める企業に、もはや従業員はついてきてくれません。また、仕事の質や量、対人関係など労働環境の良否も、従業員の労働意欲に大きく影響します。
そこで企業は、従業員のモチベーションを高めることが急務になっています。以前は、給与や地位などモチベーションを維持するための施策は、非常にわかりやすいものでした。しかし現在は、そのように単純な金銭的報酬だけでモチベーションを高めることは、難しくなっています。
従来より企業は、福利厚生の充実、長期休暇、社内イベントの実施など、従業員のモチベーションアップのためのさまざまな施策を準備してきました。そして現在、さらに高度な付加価値を用意することが求められています。
その付加価値とは、個々人の内なる「自己自尊の欲求」や「自己実現の欲求」を満たすことです。平易な言葉でいえば、「仕事を通じて従業員が幸せになる」ことであり、これを「ES(Employee Satisfaction=従業員満足)」といいます。ESを高めることは、企業が生き残るために不可欠なのです。
ある企業では、自社の従業員を「内部顧客」ととらえているそうです。ホスピタリティは、顧客だけでなく従業員にも向けられるべきだ、という考え方です。
「一枚の絵」を見せる
ESを高めるためには、まず企業としての価値観を、組織全体で共有することが必要です。ある企業の経営者は、数ある同業他社のなかで、なぜわが社の存在が世の中に必要なのか、機会あるごとに従業員に語りかけているといいます。それが、自分の所属する会社や仕事に対する、従業員の誇りを醸成することにつながります。
また、経営者は従業員に、「一枚の絵」を掲げて見せなければなりません。たとえば、完成図を見ずに、想像だけでジグソーパズルをつくりあげることができるでしょうか? その完成図、すなわち経営理念やビジョンを、経営者は従業員に明示しなければならないのです。従業員は、自分のとるべき行動基準や方針が明確に見えなければ、どのように進んでいけばよいかわからず、組織全体が同じベクトルを向くことはできなくなってしまいます。
あわせて、「あなたはこの絵の中で、この部分の作成を担当しているのだ」と具体的に示し、動機づけをすることも必要です。従業員は、自分のポジションや役割を自覚することで、仕事への意欲を高めることができるのです。
さらに、一度言えば伝わるとは考えず、何百回でも何千回でも、手を変え品を変えて言い続けなければなりません。そして、その根底には「従業員一人ひとりが、仕事における自己実現を果たし、人生における成功を手に入れてほしい。会社はそれを、全力で手助けする」という、経営者の強い思いがなければなりません。経営者の皆さんには、その気持ちを、ぜひ伝え続けていただきたいと思います。
「自立」「自律」した従業員を育てる
従業員が感動・感激をもって受け止めてくれれば、彼らの労働の目的は、もはや収入だけではなくなります。自分の会社や仕事に誇りをもち、喜びを感じながら働くことになるのです。
自分の「やるべきこと」「やれること」「やりたいこと」を知った従業員は、自分がどう行動すべきか、こまかな指示がなくても理解しています。そればかりか、彼らは「会社が経営理念を実現し、もっと成長するには何をすべきか」を考え、そのための新しい方法やサービスを次々に考え出し、実現していくのです。当然、この過程のなかで彼ら自身も成長し、「自立」と「自律」のできる人間が育っていくことになります。これがESの本質です。従業員が満足しながら働けば、ひいては顧客も満足し、自社のファンを増やしていくことになります。

