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従業員満足のために社内広報ができること 後編
CS(Customer Satisfaction=顧客満足)を実現するためには、まずES(Employee Satisfaction=従業員満足)を高めることが必要です。前回と今回では、従業員のモチベーションを向上させるための、社内広報の目的と役割を考えてみましょう。
企業の組織活性化コンサルティングを多数手がけ、研修・講演・執筆活動に多忙な活躍をされている、有限会社人事・労務の矢萩大輔さんと金野美香さんに、詳しく解説いただきます。
情報を共有できる仕組みを
規模が大きな企業では、仕事を通した喜びを一人でかみしめる、「自己満足」の状態に陥りがちです。しかし、それを組織の仲間全員で分かちあえれば、さらに大きなパワーにつながります。従業員一人ひとりが持っている情報を、皆で共有できる仕組みづくりが必要です。
ある企業では、従業員が仕事上の具体的な体験を発表する場を、朝礼や会議などの際に設けています。顧客との信頼関係などテーマはさまざまですが、自社の行動基準に対するふるまいを見つめなおす好機となり、おのずとマニュアルを超えたものが出てくるのです。従業員自身が内面的に自問自答を繰り返すことで、自分なりの基準が定着し、自然に行動できるようになるのではないでしょうか。
さらに本人だけでなく、その発表を聞くことで、ほかの従業員も、共有すべきものが見えてきます。たとえば、Aさんの成功事例や仕事に対する姿勢を聞いて、会社を辞めようと内心思っていたBさんを、翻心させることができるかもしれません。「Aさんのようにやってみよう」とBさんが思いなおしてくれれば、Aさんは図らずして企業に利益をもたらすことになります。
また、経営者や管理職が「わが社はすごい」と言い続けていると、不思議なもので、組織全体にそれが浸透し、従業員一人ひとりに自社に対するロイヤリティが芽生えてくるようになります。強い思い込みは、やがて現実を変え、本当に「すごい会社」を実現してしまうこともあるのです。これを「ピグマリオン効果」といいます。
いずれにしても、「従業員みずからが感動・感激しないと、社内の仲間に、ましてや顧客に、その思いは伝わらない」と、その企業の経営者はおっしゃっています。
企業のDNAを伝える社内広報を
伝達の手段には、「話す」「書く」の二つがあります。両者には補完効果があるので、どちらもバランスよく取り入れるのが理想的です。ここに、社内広報の本領発揮の場があります。
印刷媒体の効用に「記録性」があります。文章化されたものは、無意識のうちに、読み手に「改まったかたちで出てきたもの」という緊張感を与えるのです。一対一のコミュニケーションは、その人個人にかかわるものです。しかし、一対一〇のコミュニケーションは、フォーマルなかたちで全員に伝えるべきものとなります。
また、印刷媒体では、文章だけでなくビジュアル的に意識づけることが肝要です。「Aさんはこう行動している」と紹介する場合に、読者に具体的にイメージしてもらうため、Aさんの顔やカバンの中身などを、写真で具体的に見せましょう。こうして読者にあらかじめ頭の中でイメージを描いてもらった上で、オフサイトミーティングなどでAさん本人に語ってもらうと、とても効果的です。
このように、社内コミュニケーションのあり方は、さまざまです。社内広報担当者は、ときに「経営者の分身」となり、ときに「従業員の分身」となって、企業のDNAを伝え、それを具現化している人をクローズアップすることを、繰り返し行っていただきたいと思います。それを社内にしっかり浸透させることが、力強く成長し続ける企業体質をつくっていくのです。

