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社内広報とは、コミュニケーションを統轄するトップ・マネジメントである
社内コミュニケーションとは、一般に「社内広報」といわれますが、そこからイメージされるのは、「社内報」など社内メディアを中心としたコミュニケーションです。しかし、その本質は「経営目的を達成するためのマネジメント」にあります。
今回と次回の2回にわたり、社内広報に詳しい、ジャーナリストの川崎明氏にお話を伺います。
反社会的行為には、ブレーキの仕組みを
昨年の11月30日、某メーカーの粉飾決算事件の初公判が始まった。元社員である友人に会った。現役時代、上司らの粉飾行為を知りながら、声を上げて不正を止めることができなかったことが悔やまれるという。
某保険会社の保険金・給付金不当不払い問題では、担当セクションの行き過ぎた査定が社内の噂になっていた。声を上げる社員がいなかったために、社長の耳に届かなかったとされる。
長引いた景気の低迷やリストラ経営、あるいは新たな局面を迎えているといわれる勝ち残り競争のなかで、会社が生き延びるための経営手法が、社会倫理から逸脱することに対して、鈍感になってきた会社が増えているのだろうか。
物づくりにせよサービス提供にせよ、社会に有用な商品価値を認めてもらうことが経営の目的である以上、社会倫理に相反する行為や行動は、どこかでブレーキがかかるような経営の仕組みをつくっておくべきだ。これをおろそかにする経営トップは「その任に非ず」といわれても仕方がない。
不祥事の原因は、社内コミュニケーションの不全
社会的な不祥事をひき起こした会社では、多くの場合、社内コミュニケーションが悪化している。私がかつて勤めていた千代田生命では、金融業として首を傾げざるをえない資産運用が経営破綻につながった。その原因は、社内コミュニケーションの不全にあったことは広報担当であった私にはよくわかる。
社内コミュニケーションとは、一般に「社内広報」といわれるが、そこからイメージされるのは「社内報」など社内メディアを中心としたコミュニケーションである。だが、本質は「経営目的を達成するためのマネジメント」である。権限を委譲する組織職制づくり、指示命令を伝達する通知・通達から、現場からの報告や公聴まで、「企業統治に必要なあらゆるコミュニケーションを統轄するトップ・マネジメント」が社内広報なのである。
米欧のビジネススクールでは「ICM」(インターナル・コミュニケーション・マネジメント)としてMBA(経営学修士)課程のカリキュラムに組み込まれているほどだ。日本のマネジメントとして社内広報が重視されてこなかった理由には、終身雇用や年功序列などによる日本型マネジメントが、社員の忠誠心や仕事のやる気などを支えていたからに他ならない。だが、非正規社員やフラットな職制が増えグローバル化が進む中、日本的経営の社内広報を根本から見直す必要性が生まれているはずである。(以下次号)

