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日野孝次朗 先生

プロフィール

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意外と知られていない著作権表示の効果 その3

◎著作者表示で著作権の寿命が変わる

 著作者の表記によって著作者が推定されることはわかりました。では、その著作者の種類によって著作権保護期間が変ってしまうとしたら、これは無視できる問題でしょうか。

 今つくられているデザインやキャラクターの商品寿命はわずか数年で切れてしまうものがほとんどであろうと思いますが、中には末永く著作権を保持したいと願うケースもあります。また、数年で使わなくなってしまうけれど、かといって50年後に他人に勝手に利用されたくないという場合もあるでしょう。

 著作権法の保護期間のことはすでに別の機会で触れてきましたのでなるべく省略しますが、著作者が個人であれば保護期間は死後50年まで、著作者が法人であったり無名または変名の場合は公表後50年まで、という違いが生じます。

         ヒノコウジロウ作          制作 ヒノッチ

 たとえば私が今年制作されたキャラクターの著作者として著作物を公表する際に「ヒノコウジロウ作」とした場合と、「制作 ヒノッチ」とした場合では、その著作物の著作権保護期間は異なるということです。

 もし私が50年後に死亡したとするなら、著作者表記が実名の場合は著作権の寿命は100年間となりますが、「ヒノッチ」という表記は著作権法では「変名」にあたりますから、50年間しか保護されないことになります。

 「ヒノッチ」という作者名からは、私が本当の作者であることを特定できないので死後起算ができませんから、これもやむをえないのです。 しかしながら著作権法の原則は、やはり「死後起算」なのですから、たとえ著作者表示が変名や無名であったとしても、本当の作者が何らかの事情で世間にとって認知されているのではあれば、やはり「死後起算」が適用される余地があってもよいでしょう。  

 ですので、この文章を読んで、「しまった。自分の名前で表示しておけばよかった。」と思った方も、あせらなくて大丈夫です。なぜなら、今からでも表記を変えておけばよいからです。あなたが生きている間に、著作物表示を自分の名前に変えて世間に認知してもらえばそれでよいのです。

 とはいっても、よほど有名なキャラクターやデザインでもないと、自分が著作者であることが世間から忘れられてしまったり、自分が著作者であることを主張する材料を失ってしまうかもしれない、という不安があるでしょう。自分が生きているうちはまだ良いのですが、死後何十年もたったときに権利収入を得るべき承継者が著作権の存在を否定されてしまったら困ったことになるかもしれません。

 チャプリンの映画の保護期間の訴訟のように、著作権の存否のことで未来の承継者が裁判に巻き込まれる可能性がないとは言えません。そこで、著作権法では「実名の登録」という制度を用意しています。
 たとえ無名・変名で公表されている著作物であっても、作者が生きている間に実名の登録を文化庁で行っておけば死後起算の適用となります。公的機関の証明で著作者が推定されますから、著作権法の原則に従って死後起算の適用を受けられるのは当然のことといえます。ただし、一応手間とコストがかかるわけですから、将来を予想して必要があるときだけ登録すればよいでしょう。

 もし外部のクリエイターにキャラクターやデザインの制作を注文し、その後で著作権を譲り受けるような場合であれば、公表の際にクリエイターの実名を表記しておくか、またはクリエイターに実名の登録をしてもらっておくことをご検討ください(もちろん、50年以上著作権を保持したい場合に限ります)。