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意外と知られていない著作権表示の効果 その2
◎著作者表記には法律的な効果がある
著作権法では、著作物表示に関して沈黙しているわけではありません。
著作権法(著作者の推定)
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
この条文によると、著作物が世間の目に触れる際に表示された者が著作者と推定される、ということです。表示をしないことも自由だけれど、もし名称の表示があれば、その人が著作者であると推定されます。推定とは、それをくつがえす証明がなされない限り事実とみなされる、ということです。
ここで、たとえば特許の場合と比較して説明しますと、特許の場合には特許登録を受けた者が特許権を取得できることになっていて、その要件の一つとして先願や先発明という要素があり、要するに<最初に発明をした人に特許権をあげます>という原理が根底にあります。
発明というのは複数の発明者が同じ発明を実現できる可能性があって、誰に特許を上げればよいのか悩むことがあるので、最初に発明した人を選んだり(先発明主義)、最初に出願した人を選んだり(先願主義)します。ところが著作権の世界では、ある著作物と同じ著作物を別の人が創作するという可能性が理論上はありません。なぜなら著作物というものは<創作的な表現>であって、他人の表現と偶然に似てしまうようなありふれた表現は著作物とはみなされませんから、「創作したタイミングの順位」というものを考える必要がないのです。
ですので、著作権法の世界では「誰が創作したか」という事実だけで誰が著作者なのかが決定されるわけで、その証拠として最も有力なものが「世間による認知」なのです。
著作物は通常世間に公表されるものですから、大勢の眼に触れて「あの人が作者なのだな」と大勢の人に認知されれば、それで著作者の地位は安泰になるということです。
もし著作者の名称が表記されなかったとしても、著作物には作者特有の個性が内蔵されているのですから、他人が著作者として名乗り出てきても作風や画風といったものがおのずと違いをあらわしてしまうでしょうから世間の眼が本物とニセ者を見分けてくれるでしょう。
こういうことなので、ニセ者と真実の作者とが著作者の地位を互いに争うということは現実にはなく、むしろ「真似たかどうか」という点でケンカになることがよくあります。
ですので、著作者の地位を得るためには特許の場合のように<登録>という手続を必要としません。その代わり、著作者表示には著作者の地位に影響する重要な意味があるということになります。

