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Vol.18 時間外割増賃金引き上げとパート厚生年金適用拡大の行方
先々週(6月20日)に、第169回通常国会が閉会しました。今回は同国会における旧労働省関連提出法案状況とその後の動向を紹介します。
改めて法案成立状況を見ると、旧労働省関連法案の多くが未成立であることに驚かされます。まず166回国会(昨年の通常国会)から継続審議されていた、労働基準法の一部を改正する法律案および被用者年金一元化法案のいずれも本国会中さしたる進展がなく、継続審議扱いとなりました。(内閣法制局HP、法案成立状況が一覧表で示されています)
また、本通常国会において政府が提出した、児童福祉法等の一部を改正する法律案および障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案も不成立です。
特に前者の児童福祉法等改正法は、衆議院を通過し、参議院において審議されていましたが、後期高齢者医療制度問題の荒波にのまれ審議日程が取れない上、民主党が内閣総理大臣問責決議を受けて、「継続審議」とすることも反対した結果「廃案」となりました。厚生労働省は改めて衆議院に同改正法案を提出し、衆議院の審議を求めることになるものです(なお障害者雇用促進法改正案は衆議院において継続審議とされました)。
したがって、人事担当者から見ると、本国会は珍しく改正法への対応に追われる懸念がないといえますが、水面下ではさまざまな動きがあるようです。まず一つは労働基準法改正案についての動きです。2007年3月に提出された政府案によれば、月間80時間を超える法定時間外労働に対する時間外割増賃金率を5割増しとする改正案が示されていました(政府提出法案要綱(PDF))。
これが先日、自民党・公明党間で取り交わされた政策協定によれば、割増賃金率を5割に引き上げる対象となる法定時間外労働数を、月間80時間から60時間に引き下げるとのことです(毎日新聞 2008.6.19)
第2に、週所定労働時間が通常の労働者に比べ4分の3未満である短時間労働者に対する厚生年金適用拡大の動きです。これについては、先に紹介した被用者年金一元化法案において、適用拡大が盛り込まれていますが、審議が一向に進まないところでした(被用者年金一元化法案第2-七参照(PDF)) 。なお同法案によれば、週20時間以上、当該事業所に1年以上使用されることが見込まれること、報酬の月額が9万8000円以上である者は、新たに厚生年金法の被保険者とする旨、提案されています。
これについて、社会保障国民会議分科会等でパート社員に対する厚生年金適用拡大が報告案に盛り込まれていたところ、福田首相は同会議の中間報告を受け、「パート労働者の厚生年金適用拡大」問題を非正規雇用問題の緊急対策の一つとして取り上げ、8月までに同対策を取りまとめると表明した旨、報じられています(時事通信社 2008.6.19)。
8月末頃に開会が予定されている臨時国会において、労基法改正案とパート厚生年金適用拡大という大きな問題が動く可能性がでてきました。今後の動向が注目されます。
(参考資料)
●社会保障国民会議中間報告(PDF) 首相官邸HP 「社会保障国民会議 中間報告」
●同会議分科会中間報告(PDF) 首相官邸HP 「第一分科会(所得確保・保障(雇用・年金))中間取りまとめ」

