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Vol.13 「労働契約法ついに成立」
1.はじめに 〜最新資料紹介をかねて〜
11月28日(水)、労働契約法・最低賃金法が参議院本会議において可決成立しました。労働契約法は、公布の日から起算して3か月を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されるとしています。
(参考:JILPTホームページ 労働契約法衆院修正/改正最低賃金法衆院修正)
また、労働契約法案(政府案)については、厚生労働省のホームページに法案概要、法案要綱が掲載されていますので、あわせてご参照ください。(参考:厚労省HP)
2.労働契約法案とは?
厚労省HPの法案概要が簡潔に法案アウトラインを図表でまとめております。
思い起こせば、昨年の今頃は、厚生労働省労働条件分科会において毎週のように労働契約法・労働基準法改正案についての審議がなされておりました。(審議会議事録)
厚生労働省事務局がまとめた中間報告案が、昨年6月に労使双方の猛烈な反発を招き葬りさられたあと、8月末に審議会が再開されました。その後、大変なスピードで改正案の審議を行い、取りまとめられたのが、先の政府案です。時間がない上、労使の対立点がない(若しくは少ない)ものを中心に立法化することとしたため、物足りない面は否定できません。
しかし、わが国で初めて、個別の労働者および使用者の労働関係の民事ルールを立法化しようとする点は、今後の労使紛争解決にあたり大きな意義を有すると思われるところです。
3.政府案修正内容について
(1)はじめに
政府案が今年3月、閣議決定の上、衆院に提出されましたが、先の通常国会では、時間切れとなり「継続審議扱い」とされていました。秋の臨時国会では会期冒頭からの「政局混乱」のため、法案は一向に審議される気配がなく、本国会での法案成立は難しいとの観測も流れていたものです。
しかし、さすがに臨時国会において、法案が一つも成立しないことに与野党ともに危機感を覚えたようで、断続的に協議の上、修正案を取りまとめたものです。(JILPT HP/労働契約法修正案)。
(2)修正内容について
修正内容の大半は、連合がかねてから指摘していた点に対する修正です(参考:連合HP)。そのほか、大きな修正点として、以下の規定追加があります。
●第3条2項
労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
●第3条3項
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、または変更すべきものとする。
(3)均衡処遇規定案の意義とは
第3条2項の均衡処遇原則については、労働契約法案審議の過程で、直前まで案に含まれてはいたものの、最後の最後で政府案から漏れたものです。それが与野党協議の中で、いわば「復活」いたしました。同規定案が法的にどのような意義を持つのか不透明ですが、少なくともひとついえることがあります。いわゆる擬似パート社員に対する均衡処遇の問題が法律上明文の根拠を持つことになるという点です。
改正パート労働法において、大きな論点であるのは、所定労働時間が正社員と変わらないが、有期契約・時給制である擬似パート社員に対する処遇の問題です。これら擬似パート社員についてはパート法の適用対象とする「短時間労働者」に定義上あてはまらないため、パート労働法が定める様々な均衡処遇に関する規定が適用されません。パート指針においても「法の趣旨が考慮されるべき」とはするものの、パート労働法の適用対象ではないことが合わせて確認されていました。
これについて、国会審議の中でも再三、野党議員から批判がなされていましたが、政府側委員の回答は「擬似パート社員に対する均衡処遇の問題は労働契約法案で対処すべきもの」「同法案は継続審議中である」旨の見解が繰り返されていました。
この擬似パート社員に対する均衡処遇の点で、同規定案は法的にも大きな意義を有する可能性があります〔配転命令権の濫用判断をめぐり、育児介護休業法26条の制定経緯、趣旨を斟酌した裁判例(明治図書事件:東京地決平成12年12月27日)等が想起されるもの〕。
そのほか、仕事と生活の調和に関する規定も、今後、「配転法理」「残業命令の権利濫用法理」において、判例に一定の影響を与える可能性は否定できないものです。
いずれにしましても、労働契約法は「派手さ」に欠ける面はあるにせよ、今後の人事労務分野において、労基法・労組法と並ぶ基本法として、大きな影響を与えることが予想されます。今後も引き続き、同法案の動向についてご紹介していきます。

