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企業価値を高める内部統制システムの確立
平成18年5月1日から施行された会社法は条文が979条あります。この膨大な条文を前に、今回の改正で新会社法は一体、何を目的として、何が規定されたのか考え込んでしまいます。 法律の分野で仕事をしている弁護士ですらこのような感慨を持つのですから、一般の会社の担当者はなおさらその思いを強く持たれることと思います。
今回施行された会社法を大ざっぱに分けるとファイナンス(企業金融)、ガバナンス(組織・機関)、リオーガニゼーション(組織再編)の分野に分けることができます。ファイナンスは資金調達、余剰資金の分配、自己株式の取得であり、ガバナンスは会社の組織や機関の仕組みに関するものであり、リオーガニゼーションは合併とか会社分割などであります。
改正の背景には市場機能の重視、世界レベルでのコーポレートガバナンスの議論、会社の資本政策や起業の自由度の拡大など社会情勢の変化に対応した制度づくりという視点があります。
その中で目下会社法、会社法施行規制への対応で忙しいのは内部統制システムの確立ではないでしょうか。会社法362条4項6号では「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」が必要であることが明文化され、ここでの「体制の整備」は内部統制の構築と理解されていますが、法務省令の会社法経過措置政令14条では、大会社は施行日以後最初に開催される取締役会までに内部統制システムの整備に関する基本方針を決定しなければならないとされていることから、会社法の施行日である5月1日以降の最初の取締役会でこれを決議しなければならないからです。
内部統制システムの対応はぬかりなく進められていると思いますが、大事なことは内部統制システムを組織管理、監視の観点からとらえるのではなく、企業価値の向上という企業の基本的な目的の遂行のために積極的に構築するということです。企業に対して内部統制システムの確立が強く求められている理由は、企業に対する信頼性の確保にあります。したがって経営者は社会が企業に対して何を要請しているかを敏感に感じ取りながらそれを経営に反映させ、さらに透明性を高めるために適時的確な情報開示が行える内部統制システムの構築を戦略的に進めていくことが重要であると考えます。

